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【IPOを目指す会社必見!】TOKYO PRO Marketという選択肢とは?~中小企業が「上場」を現実にする方法~

「IPOを目指したいが、自社の規模や状況で実現できるのか不安だ」
「上場に向けた準備をどこから始めればいいのか分からない」

そんな悩みを持つ中小企業の経営者・担当者の方へ。
IPO(新規株式公開)は、大企業だけのものではありません。実際には、売上数億円規模の企業でも、準備次第で上場の道は開けます。その中でも、今注目されているのが東京証券取引所が運営する「TOKYO PRO Market(東京プロマーケット)」という選択肢です。本記事では、上場を現実のものとしたい中小企業向けに、TOKYO PRO Marketの基本情報からメリット・デメリット、上場までのステップや実際の事例まで、徹底的にわかりやすく解説します。

IPO_税理士_IPO_目指す

 

1. IPOとは何か?なぜ目指すのか?

IPOとは、「Initial Public Offering」の略で、企業が初めて株式を市場に公開し、外部から資金を調達する仕組みです。

これにより、次のようなメリットが得られます:

– 資金調達力の強化
– 社会的信用の向上
– 優秀な人材の採用が容易に
– 取引先・金融機関からの信頼強化
– 創業者や株主の資本回収(エグジット)

一方で、上場には「審査の厳しさ」「コスト」「内部管理体制の整備」といった高いハードルも存在します。

 

2. 上場の主なルートとその違い

上場ルートとして、主な上場市場には以下の3つがあります:

– 東証スタンダード市場(安定した企業向け)
– 東証グロース市場(成長企業向け)
– TOKYO PRO Market(プロ投資家向け・小規模企業にも対応)

TOKYO PRO Marketは、他の2市場に比べて、上場基準や開示義務が緩やかに設計されており、“中小企業にとって最も現実的な上場ルート”ともいえます。

 

3. TOKYO PRO Marketとは?

TOKYO PRO Marketは、東京証券取引所が2009年に創設した「プロ投資家向け市場」です。特定投資家(機関投資家など)だけが売買に参加できるため、以下のような特徴があります:

– 一般投資家向けのIR義務が不要
– 上場基準が柔軟(売上・利益要件なし)
– J-Adviserによる審査(東証の直接審査ではない)
– 上場までの期間が短い(半年~1年)
– 上場コストが比較的安価(2,000万〜3,000万円程度)

 

4. TOKYO PRO Marketとは?他市場との違い

TOKYO PRO Marketの特徴をより明確に理解するためには、他の主要な上場市場と比較することが有効です。以下に主な違いをまとめます。

IPO税理士

このように、TOKYO PRO Marketは「コスト・期間・基準」の3点で最もハードルが低い市場です。将来的に他市場へのステップアップも視野に入れることで、中小企業でも段階的な成長戦略を描ける点が魅力です。

 

5. なぜTOKYO PRO Marketが中小企業に適しているのか?

✔ 財務規模が小さくてもチャレンジ可能

赤字であっても上場が可能であり、将来性や事業計画が重視される市場設計。

✔ 信用力向上による取引・融資の拡大

上場企業としての対外的信用が得られるため、銀行融資や新規取引がスムーズになる。

✔ 経営管理体制を整える絶好の機会

内部統制・会計体制の整備により、企業としての土台を強固にできる。

 

6. 実際の上場事例

事例1:地方製造業(売上約10億円)

創業40年、代替わりを契機に上場を決意。TOKYO PRO Marketに上場したことで、大手企業との取引が増加し、後継者への承継もスムーズに進行。

 

事例2:ITスタートアップ(社員数25名)

ベンチャーキャピタルからの資金調達後、信用力を上げるために上場を選択。上場から半年で全国展開へと成長を加速。

 

7. 上場までの流れ

TOKYO PRO Marketでは、以下のプロセスを経て上場が実現します。

1.J-Adviser(認定アドバイザー)の選定
2.現状分析と課題抽出(ガバナンス・会計など)
3.上場準備体制の整備(内部統制、会計監査など)
4.上場申請資料の作成と提出
5.J-Adviserによる審査・推薦
6.東証による形式審査
7.上場承認・株式公開

 

8. 気をつけたいポイント(デメリット)

– 一般投資家からの認知度は低い(市場がプロ向けのため)
– 流動性が低く、株価形成がしにくい
– 上場後も継続的な報告義務がある(最低限だが完全に自由ではない)
– J-Adviserの質により成功可否が分かれることも

 

9. よくある質問(FAQ)

Q.赤字でも上場できますか?

A.はい、可能です。TOKYO PRO Marketは「将来性」や「事業の独自性」を重視しており、必ずしも黒字である必要はありません。

Q.J-Adviserとは何ですか?

A.上場審査・支援を担う認定アドバイザーです。J-Adviserが企業を推薦することで、TOKYO PRO Marketに上場できます。

Q.一般の個人投資家は株を買えないのですか?

A.原則として、TOKYO PRO Marketの株式はプロ投資家のみが取引可能です。ただし、上場の目的が信用力向上や採用強化であれば、十分な価値があります。

Q.上場後もコストはかかりますか?

A.はい。継続開示やJ-Adviser契約の維持費などがかかります。ただし他市場に比べて軽減されています。

Q.将来的に他市場へ変更できますか?

A.はい。TOKYO PRO Marketで信頼性を高めた後、東証グロースやスタンダード市場へステップアップする企業も存在します。

 

まとめ:「IPOを目指す」第一歩としてのTOKYO PRO Market

TOKYO PRO Marketは、従来の上場制度ではハードルが高すぎると感じていた中小企業にとって、現実的かつ有効な手段です。

– スモールスタートでの上場が可能
– 経営基盤を強化する仕組みとしても有効
– 次のステップ(スタンダード市場など)への足掛かりにもなる

「IPOを目指す」すべての企業にとって、まずはこの市場を知ることが、自社の未来を切り拓く第一歩となるはずです。

IPO税理士

おわりに

最後までコラムをお読み頂き、誠にありがとうございました。弊所はデロイトトーマツ出身のメンバーで構成されたプロフェッショナルチームによる20年以上の経験を活かした、質の高い税務サービスやコンサルティングサービスを提供しております。お客様のお悩みに併せて案件の大小、事務所の規模感問わずこれまでに多くの企業様の税務課題を解決し、ビジネス成長をサポートしてまいりました。IPO準備は、専門的な知識と知恵を必要とするプロセスです。困難に直面することがあれば、早めの相談が成功への近道となります。当事務所では、税務や財務、法務面など幅広い支援を提供するとともに、IPO経験豊富なネットワークを活用して、企業の課題を解決します。お読みいただいたご感想、またちょっとしたことでもIPOに関するご質問や、サービス紹介/コンサルティング&サポート/税務・会計顧問に関するご検討事項ございましたら、こちらのお問合せページから何なりとご連絡を頂けましたら幸いです。

税理士_IPO支援_飯田橋

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この記事を書いた人

共同代表
(公認会計士・税理士・CFP)

熊谷 和哉

2000年有限責任監査法人トーマツ入社、上場会社の会計監査とともに、会計基準対応・IPO支援・内部統制構築等アドバイザリー業務に従事
2021年、20年超所属したトーマツ退社後、これまでの経験・知見を活かして自らが主体となるべく、デロイト トーマツ出身者を中心とした税理士法人・会計コンサルティングファームであるコンフィアンスグループを設立し共同代表として参画