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税務申告書・届出等作成に関する税務顧問の役割

IPO支援、税理士

<今回のコンフィアンスコラム>

企業や個人事業主の税務手続は非常に複雑で、正確に行わないと大きなリスクを伴うことがあります。ここで重要な役割を果たすのが「税務顧問」です。特に「各種税務申告書・届出等作成」に関する税務顧問の業務内容や実務上の注意点、よくある問題とその原因について、わかりやすく解説いたします。また、中小企業の資金調達やIPO(新規株式上場)準備のサポートについても触れます。

IPO税理士

【各種税務申告書・届出等作成の重要性】

税務申告書や届出の提出は、企業や事業主にとって避けられない重要な業務です。これらの書類は、期限内に正確に提出される必要があり、ミスがあるとペナルティや税務調査の対象となることもあります。税務顧問は、この煩雑なプロセスについて専門知識を駆使してサポートすることで、顧問先の税務リスクを最小限に抑える役割を果たします。

 

具体的な業務内容

(1)法人税・所得税・消費税の申告書作成

  • 企業や個人事業主が対象とする各種税金の申告書を作成します。これには、収支計算、税額の算出、控除の適用などが含まれます。決算書の作成および関連資料の整備も行います。

 

(2)税務届出のサポート

  • 新規事業の開始、事業の変更や終了に伴う必要な届出手続きをサポートします。税務署や市町村への通知手続き、各種届出書の作成と提出を行います。

 

(3)税務調査対応

  • 税務調査が入った際の対応をサポートします。これには、事前準備、調査官との対応、調査結果に対する意見書の作成などが含まれます。

 

(4)監査対応

  • 必要な監査の対応を支援します。これには監査準備、監査中の対応、監査報告書の確認などが含まれます。

 

(5)経理方針の策定および指導

  • 経理処理の適正化、効率化を支援し経理担当者に対して実務的な指導を行います。経理方針の策定をサポートし、適切な会計処理の徹底を図ります。

 

(6)確定申告のサポート

  • 所得税の確定申告書作成をサポートし、必要な資料の整備と申告書の提出を代行します。

 

(7)企業設立や資金調達のサポート

  • 新規企業の立ち上げに関する税務アドバイスや準備を支援します。金融機関やベンチャーキャピタルなどからの資金調達を計画的に進めるための税務的な助言を行います。

 

(8)IPO準備のサポート

  • IPOを目指す企業に対する財務や税務面での支援を行います。IPOに必要な財務諸表や税務書類の作成、適正な税務処理の導入、不正リスクの管理をサポートします。

 

【実務で気を付けるポイント】

税務申告書や届出の作成業務を行う際の重要なポイントは、以下の通りです。

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(1)正しい情報の収集と整理

税務申告書の作成に必要な情報を正確に収集し、整理することが基本です。日々の取引データ、経理記録、領収書などを漏れなく集め、必要に応じて追加情報を集めることになります。

 

(2)法律改正への対応

税法は毎年変更があり、特に年度末や年度初めに多くの改正が行われます。常に最新の税法改正情報をキャッチし、申告書作成業務に反映させることが求められます。

 

(3)二重チェックと確認

誤った計算や記入漏れは、後に大きな問題を引き起こします。申告書作成後には必ず二重チェックを行い、正確な内容であることを確認します。これには、複数人によるチェック体制の構築が有効です。

 

(4)期限を守る

申告や届出の期限は法定されており、遅延するとペナルティが科されることがあります。十分な準備期間を確保し、期限内に余裕を持って提出することが重要です。

 

 

【よくある問題とその原因】

税務申告書や届出の作成業務には、いくつかの共通した問題が見受けられます。これらの問題を理解し、防ぐための対策を講じることが重要です。

 

(1)申告期限の遅延

申告書の提出が期限に間に合わない可能性が生じるという問題は頻繁に発生します。主な原因は以下の通りです。

  • 資料提供が遅れる
  • 必要な書類が不備や不足している
  • コミュニケーション不足による情報の遅延

 

(2)税務調査での指摘

税務調査で指摘を受けるケースも多くあります。その原因には、以下が含まれます。

  • 税法や経理の基本概念に対する理解不足
  • 誤った会計処理や経費計上
  • 最新の税法改正に対応できていない

 

(3)監査での指摘

  • 会計処理や税務処理の不備、内部統制の問題、資料の不足や不備。

 

(4)書類の不備やミス

書類の不備や計算ミスは、後に重大な問題を引き起こします。これには、次のような原因があります。

  • 経理担当者の知識不足
  • 繁忙期の作業量増加による見落とし
  • システムやツールの誤使用

 

【問題への対策】

これらのよくある問題に対して、以下の対策を講じることが考えられます。

(1)コミュニケーションの改善

顧問先との定期的な打ち合わせや報告を通じて、情報共有を徹底します。重要な申告期限や必要な書類について、早めに確認と準備を進めることが不可欠です。

 

(2)教育とトレーニング

顧問先の経理担当者に対して、税務に関する基本的な知識や最新の税法改正情報を提供することで、知識不足を補います。また、経理実務の研修やトレーニングを定期的に実施することが効果的です。

 

(3)チェックリストの活用

各種税務申告書や届出の作成では、各種チェックリストを活用することで漏れやミスを防ぎます。定期的に更新し、常に最新の情報を反映させることで、業務の精度が向上します。

 

【まとめ】

税務申告書や届出の作成は、企業や個人事業主にとって非常に重要な業務です。税務顧問は、専門知識を駆使してこれらの作成業務をサポートし、顧問先の税務リスクを最小限に抑える役割を果たします。適切なコミュニケーション、最新情報の収集と整理、二重チェックの徹底が鍵となります。また、企業設立や資金調達のサポート、IPO準備の支援など幅広い業務も重要です。税務のプロフェッショナルとして、税務顧問が迅速かつ的確なサポートを提供することで、安心して業務に専念できる環境を整えることができます。

 

【最後に】

貴重なお時間、最後までコラムをお読み頂き、誠にありがとうございました。弊社はデロイトトーマツ出身のメンバーで構成されたプロフェッショナルチームによる20年以上の経験を活かした、質の高い税務サービスやコンサルティングサービスを提供しております。お客様のお悩みに併せて案件の大小、事務所の規模感問わずこれまでに多くの企業様の税務課題を解決し、ビジネス成長をサポートしてまいりました。お読みいただいたご感想、またちょっとしたことでもIPOに関するご質問や、サービス紹介/コンサルティング&サポート/税務・会計顧問に関するご検討事項ございましたら、こちらのお問合せページから何なりとご連絡を頂けましたら幸いです。

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この記事を書いた人

共同代表
(公認会計士・税理士・CFP)

熊谷 和哉

2000年有限責任監査法人トーマツ入社、上場会社の会計監査とともに、会計基準対応・IPO支援・内部統制構築等アドバイザリー業務に従事
2021年、20年超所属したトーマツ退社後、これまでの経験・知見を活かして自らが主体となるべく、デロイト トーマツ出身者を中心とした税理士法人・会計コンサルティングファームであるコンフィアンスグループを設立し共同代表として参画